バスクラリネットとソプラノクラリネットの持ち替えというのは厄介な問題だ。少なくとも僕にとっては。何が問題かというと、物理的に違うものを演奏する際にその両方に自分を合わせなければならないのだが、その合わせる合わせ方がなかなか定まらないのだ。

持ち替えをするプレーヤーは世の中にいっぱいいる。中にはソプラノ・アルト・テナー・バリトンサックス・ソプラノクラリネット・バスクラリネット・フルート・オーボエという強者もいて、僕の悩みなんて取るに足らないもののようにも思う。そう入った持ち替え上手に訊くと「別物と考えているよ」という答えが返っってくる。別物とは、サックスでもソプラノとアルトを同じ楽器を吹くようには吹いていないということ。つまり彼らは、それぞれの楽器に対して、適切なアプローチをきっちりと切り替えてできているということだ。

僕はそこの考え方がどうも違うらしい。楽器の音色としてはバスとソプラノの違いははっきりと理解しているし、演奏する際にその楽器を選択する意図もはっきりとしている。

ただ、いざ楽器を持ち替える時の自分の理想は、可能な限り道後として同じものを使っているという感覚でいられる、ということだ。特に吹き心地についてはそのこだわりが強い。同じような息の入り方で、同じ程度の吹き心地。もちろん全く同じにはなるわけがないのだけれど、可能な限り近づける。

持ち替えをするようになって15年ほどだろうか。未だに試行錯誤の毎日ではあるのだが、ここまでこだわる一方で、もう一つ信条としていることもある。

「あまりこだわらない」

リードなんて一日の演奏の中でコンディションが当たり前のように変わる。自分の体調によって唇の状態も一定であるわけはない。そういった変化を気にしすぎると、演奏することよりもその違和感に気が持って行かれてしまう。だから、ある程度で決め打ちをするということも大切だ。その中で少しづつ自分の演奏のクオリティを底上げしていくことが技術ということだ。

他のミュージシャンが、山のようにリードを並べて「今日はレコーディング!リードを選ぶぞ」みたいなSNSのポストを見て羨ましく思う時もあるけれど。

さて、なんでこんなことを書いたかというと、使い慣れたリードから別のリードにバスとソプラノを両方変えたのだ。最近のリードの価格上昇は看過することのできない度合いだ。リード楽器を演奏しない人には知られて居ない事かもしれないが、一箱10枚のリードが全部使えるわけでもなく、当たり外れがあるのが普通だと言われている。実際、バラツキの程度はかなりあるので、人によっては一箱に一枚なんていうこともあるらしい。僕は幸い「こだわらない」ことでその比率を7割程度にあげた。

とはいえ、やはり今まで気に入って使って居たモデルも値段が上がってきた。そこで、少し目先を変えてみることにしたのだ。今まで使っていたのは、バスもソプラノもダダリオ社のréserve classicというもの。¥2600-¥3000ぐらいで販売されていて、安い時に買っていたのだが、今回は見つからなかった。そこで、RICO traditionalというモデルに変えた。5年ぶりに使う気がする。¥2100。安い。

届いたものを使って見た。バスに関しては、5枚入り全て使用できる範囲内ではあるが、音の立ち上がりが少し遅くて、地味な音色だ。réserveの方が断然音色やイントネーションのヴァリエーションをつけやすいし、ポテンシャルも高い。逆の見方をすれば、TRADITIONALはあまり変化がつかないぶんルーズな吹き方をしても安定した演奏を供給できるというということでもある。

ソプラノの方も同じような感じだった。ただ、持ち替えという点からすると若干吹き心地に違和感がでる。これを何でカヴァーするかが課題だ。バスの方が好感触ではあるので、そちらに寄せる感覚で、ソプラノのマウスピースを変えるのか、吹き方を調節するのか。まだ使い始めだから、時間が経てばもう少し自分の感覚が方向を見出してくれそうではある。

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