音は1気圧摂氏0度で一秒間におよそ330m進む。音の高低は空気が一秒間に何度振動したかで決まり、一秒間に440回振動した場合、88鍵ピアノの第4番目のCから始まるオクターブに属するAに近似する。音色は様々な高さの音波の混合によって決まる。そしてその混合度を決定するのは管楽器で言えば、振動の発生源と管体の構造が開管もしくは閉管かどうかのみで決まり、材質による違いはない。つまりプラスティック製であろうが18金製であろうがフルートはフルートの音色でありつづけるのだ。

音の強弱は音の波動曲線の描く山の高さで決まる。山が高ければ音は大きい。

音は耳の中の蝸牛という器官の有毛細胞で電気信号に変換され大脳の感覚神経に送り込まれる。それはあたかも空気の振動波がコンデンサーのダイヤフラムを震わせ、静電容量を変化させることで電気信号に変換されるのと同じ原理であるかのようだ。僕らは知覚されるか否かに関わらず、膨大な量の電気信号を受け取り続けている。大脳皮質の聴覚野でこの信号は”音”として我々の意識もしくは情感にリンクする。

僕らが音楽と呼ぶものはこうした電気信号の中のごく一部にすぎず、それを心地よく感じるのは、脳内で報酬系に代表される快楽物質を線条体が感知するからだ。化学物質を自己生成してあたかも自家中毒を起こすかのような。

たとえ、僕らがただの電気信号と化学物質と螺旋状の核酸から構成され、自立して動くだけの存在であるとしても。

あるいは外的刺激に対する単純な反応の連なりであるとしても。

だからこそ、僕らは幻影に欲望の夢を見るように、孤独と定義づけられた生命の殻から溢れでるように生まれてきたのではなかったか。全てが有機物から無機物へ変遷し重力にしたがって花崗岩に結合するのを知っているからこそ、その重力に抗って上昇し電離層の果てで揺らめき踊るオーロラを追いかけたいと切望するのだ。

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