日本ではリハーサル場所というのは多くのミュージシャンにとって悩ましい問題だ。多くのミュージシャンがリハーサルスタジオを数時間数千円の値段で借りてやっている。だから、ちょっとしたアイデアを試すにも、リハーサルスタジを借りるとなるとそれなりにお金がかかる。

となると、リハーサルは極力効率よく少なくしたい。したがって初見力があって、ライブ当日リハでミスなくこなせるミュージシャンもしくは、覚えている曲数が多くその場で対処できるミュージシャンが重宝されるのも納得だ。そしてそれがプロフェッショナルの証でもある。

あるいはインプロヴィセーションという名のぶっつけ本番に全てを賭けるか。

何度かニューヨークに足を運んで日本と違うな、と感じたのが、リハーサル事情だ。どれぐらいのミュージシャンがそうなのか定かではないが、僕の出会ったミュージシャンの多くが自宅で音を出せる環境にあった。中にはドラムセットもあって、プライベートセッションができるというのもいる。普通にアパートメント(日本でいうところのマンションとか、集合住宅。一戸建てでも家同士は隣接している)の一室でだ。ご近所の寛容さにもよるのだろうが、昼間だったら、だいたいOKのようだ。家で音が出せないなんてありえない、と顔をしかめるのもいる。

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住宅の2階の一室がリハーサルルーム。アップライトピアノもある。

あるいは、リハーサルスペースを持っている場合もある。何人かでシェアしているのだが、ほぼいつでも音が出せて、月に一人が負担するコストが数千円という日本ではありえない安さ。それが普通だぜ、とみんな言っている。

リハーサルスタジオというよりは倉庫街の空きスペースを借りているらしいのだが、これだけ安い値段なら、文句は言うまい。

ニューヨークの音楽シーンには凄まじく複雑で、到底リハーサル無しには作り上げるコトができないようなものが多くあるように感じるのだが、それは、こうした環境であるからこその必然ではないだろうか。

面白いこと思いついたから、ちょっと遊ぼうよ、みたいな感覚でミュージシャン同士がお互いの家やリハーサルスペースを行き来できる。

数回のリハーサルで完成させられるぐらい能力の高いミュージシャンの層も当然厚いとは思うが、やはり、気軽にいつでもアイディアを試せる環境があると言うのは大きいと思うのだ。しかもちゃんとしたリハーサルもできる。Tim BerneのメンバーのOscar Noriegaが以前言っていたが、あんな複雑な曲、各自が自分のパートだけじゃなく全パート覚えてできるぐらいの回数は、リハーサルをやってるのだそうだ。それがお金の心配なくできる。

zero pointのメンバーに誘われて、プライベートセッションしに自宅まで行ってそれを実感する。これだけ簡単に音が出せるのは羨ましい。しかも、すぐに音を出すわけでもなく、お互いに世間話や、音楽にまつわるあれこれを小一時間話しながらなんとなくセッションし、終わってもレコードを聴いたり、新しく見つけた掘り出し物のYouTubeの音楽ドキュメンタリーの話で盛り上がる。当たり前だけど、根っからの音楽好きなんだ。

多分こうやって常日頃から、仲間や、僕みたいな新参者も気軽に引き込んで、面白いことをやれる環境があるからこそ、ぶっ飛んだ音楽が出来上がるんだと思う。エスプレッソマシンで入れてくれたコーヒーを飲みながら羨ましく思った。

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