僕の目標は、いろんな国から国へ渡り歩き、improvisorと一緒にプレイすること。それを生涯にわたって続けること。

知っての通り、日本は小さく、世界は生涯をかけて巡るにはあまりにも広大だ。だから、その果てしなく広大な世界のどこかの片隅をあちこち巡る一人の音楽家でいたい。

見知らぬ街で途方にくれる。初めて出会う人々と、最初の音を出す。そこで響くに違いない、それぞれの街が、人が持つ音、匂い、色、温度、湿度、風、情熱、倦怠、希望、挫折、夢、絶望、歓喜、悲哀、出会い、別れ、憎悪、愛。人生の積み重なり。その場に居合わせる人々の言い知れぬ期待感。何が起こるかわからないこそ、全てを見逃すまいとするとびきりの好奇心。

僕らが音”学”する過程で切り捨て、否定していった、雑音と言われる音たち。息遣い、キーの音、唸り声、人々のさざめき、扉の向こうの、雑踏。

全てを音楽にもう一度取り込んで、その場で初めて立ち現れる不思議な物語を紡いでいく。

それを実現すできるのがimprovisationなんだ。この音楽に悪魔に囁かれたかのように取り憑かれてしまった者、そこに人生をかける価値があると知り、全身全霊を捧げて挑む者。そんな気概のある、幾分アウトサイダーで、純粋で、同時にすれっからしでもある音楽家同士なら、言葉なくとも、その佇まいで十分響き合う。音を出す前から。僕はそんな奴らに出会って、素晴らしい時間を共にしてきた。

そういった音楽家の音楽は聴く人にも、すっと入っていく。そんな光景を色々なライブを通して見てきた。improvisationを聞くのが初めての人でも、終わりには満足げな顔になっている。共通するのは、そういった人たちはopen mindだということ。聴いたことがない物を耳にすることで心動かされることが楽しいのだ。不思議でもなんでもない。食材を見極め吟味し、一瞬のひらめきを携えて、ため息の出るぐらいのとびきりの一皿を生み出す料理人と同じだ。食に貪欲であるならば、音に貪欲であってもいいはずだ。そうすれば人生の喜びは限りなく広がる。

驚きが創造を刺激し、歓喜に満ち溢れ、時に全てを覆され、混乱に陥り、やがて理解し、やがて穏やかな確信が自分を包む。まだ見ぬそんな風景を明日は見たいんだよ。心臓をえぐりとられるかのように、心を激しく掴まれ揺さぶられるぐらいに。それこそが、生きるってことだ。

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