数年前までは、CDだった。音楽を”買う”という場合のお金と交換に手に入れたいものが。知っての通り、CDは斜陽だ。僕はその流れの中で、CDを作る側の人間でもあり、また買う側の人間でもあった。CDにこだわっていた理由は、ジャケットもミュージシャンのアートワークであり、表現である、と思っていたからだ。そのアーティストが、何か感ずるものがあってそのデザインを選択するのであれば、それは音楽表現の一部になりうると。

随分牧歌的な考え方かもしれないが、本当にそう思っていた。あるいは、仮にアートワークはレーベルなんかのプロダクションカンパニーに決定権があり、ミュージシャンはそこにさほどタッチしていないとしても、彼らがそのレーベルと契約をするからには、そのレーベルと何か響き合うものがあるからこそだと思っている。

実のところ、独立系のレーベルか自主制作でなければ、ミュージシャンのアートワークに対する影響力なんてさほどないと思うし、実際ジャケットを見れば、ミュージシャンが斜に構えて”カッコよく””可愛く””クール”に写ってるだけの、所詮”グラビア”ジャケットも多い。

お前のウェブサイトはどうなんだ?って言われりゃ、言い返してやるさ。写真みて一発でクラリネット屋だってわかるか?楽器をバラして、食い散らかして、酩酊して、バックレる。そんなスカしたサイトは、なかなかないはずだ。だから、いいんだよ。

話を戻そう。

ジャケットに価値があるかどうかがさほど重要でないと思えたとき、僕はダウンロードをしようと決めた。欲しいアルバムが国内で手に入らないか、あるいは一ヶ月以上後になって入荷するような状況で、早く聴きたい、といいう欲求を満たすために、amazon.frから送料含めると5000円のCDを買うのはどうなんだ?

ダウンロードなら一瞬で、10ドルで手に入る。やらない理由がない。中学生の頃、ラジオにかじりついて、聴きたい番組をエアチェックしていた頃は、本当に純粋に音楽に向き合っていた。その時を逃すと次に聞けるチャンスはないんだ。だから、本当に音楽だけで満足だった。ジャケットなんて必要なかった。

その原点に立ち戻るわけだ。ジャケット云々は所詮、別の欲求なんだ。”ジャケ買い”なんてまさにそうだろ?だから、ジャケットなんかのphysicalはそれが欲しいと思った時にしか買わないことにした。何も音楽と”入れ物”をセットで考えなくていいんだ。

更に言えば、今の時代に新しく形を変える音楽のあり方を頑なに拒むのは、面白いことが起きているのにそれを体験したこともないくせに頭ごなしに否定する、クソつまらない奴のすることだ。

やがて、ダウンロードはapple musicなどのストリーミングサービスに僕を向かわせることになる。なぜなら、今まで単体で買っていたアルバムがことごとくストリーミングでもリリースされているからだ。一瞬ふざけるな、と思ったが、まあ、そこまで膨大なアルバムを持っていたわけでもないので、冷静になれた。

ストリーミングについて音質云々の話はあるとは思うが、僕にとって音質が良いことが最優先ではない。変な話かもしれないが、素晴らしい音楽は音質に関係なく届くのだ。それは、子供の頃ノイズとともにラジオの向こうから流れてきた様々な音楽が僕を育てたことからもよくわかる。キースジャレットのケルンコンサートだって、CDラジカセ(20代の人には、わからないか)の小さいスピーカーで聴いて衝撃を受けたんだ。”ハイレゾじゃなきゃ音楽の本当の良さは伝わんないんだよね〜”なんてくだらないタワゴト、信じるな。音楽の良さは、お前がどれだけ音楽に対してむき出しの感性を持ってるかで決まるんだ。全身性感帯なぐらいに敏感でいろ。

とにかく、ストリーミングサービスの中に、僕の聴きたいと思っていた音楽が、それこそ唸るような数ひしめいていることがわかった時点で、僕は完全に数年前の僕ではなくなった。これも聴きたい、あれも聴きたい、という音楽の虫が久しぶりに疼いて、時間が限られていることが悩ましく感じる。

音楽というアートがどう変わっていくのかを、文字通りストリーミングの流れに身を任せて、リアルタイムに感じられるのは、ものすごいチャンスだ。こんな経験なかなかできない。面白いことがまだまだいっぱいありそうだ。

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